日本料理でいう出汁、それに該当するものが西洋料理にもあります。
そう、ブイヨンです。
でも待ってください。同じスープ状であるフォン・ド・ボーとはなんなのでしょうか。聞いたことあるひとはフォン・ド・ヴォライユ(ブライユ)なんてのもあると思います。
また、家庭でもよく使うコンソメもあります。
それらは日本料理でいう出汁にあたるものではないのでしょうか。
そのように、西洋料理はスープの種類がたくさんあって料理で使うとき分かりにくい!と言う方も多いでしょう。
そこで今回は、西洋料理で使うスープの種類をその用途や違いも含め、分かりやすくまとめていきましょう。
Contents
ブイヨンとフォン、コンソメの違いとは
西洋料理の出汁であるブイヨンやフォン、コンソメ。
いろんなレシピを見てみるとブイヨンを使っていたり、コンソメを使っていたりしていて結構バラバラなことがよくあります。
西洋料理の仕事に携わっていない人からすると、どんな違いがあるの!?状態になりますよね。
結論からいえば、どちらとも出汁にあたります。ですがその用途には大きく違いがあるのです。
ブイヨンとは
ブイヨンの使い方は主にスープ全般で、茶色がかった透明なものが多いです。
透き通ったスープを作るときには欠かせません。
牛や鶏の骨を煮出して作られ、フランス語では「出汁」を意味します。
味的にはただ煮出した汁の様なものなので素材の香りが強く、塩気はありません。
ちなみに英語圏では「スープストック」ともいいます。
コンソメとは
コンソメは簡単にいうとブイヨンに塩コショウなどの調味料を加えて味のあるスープにしたものです。
なのでフランス語では「完成した」という意味もあります。
使い方としては味が付いているのでそのまま具材をいれて飲むほうのスープにしたり、料理にも手軽に使えます。
スーパーではブイヨンの素とコンソメの素が売っていますが、実は味が付いていないか付いているかの違いだったんですね。
大抵の方はコンソメの素を買っていると思いますが、間違えてブイヨンを買ってしまった人やブイヨンのほうが安かったから、といった方も自分で味付けをすれば全然問題なし!です。
フォンとは
フォンの使い方は主にソースや煮込み料理のベースです。
さらにフォンは茶褐色のものと白っぽい白濁したものの二種類に分けることができます。
茶褐色のほうは材料を炒めてから水を加えて作るのに対し、白濁のフォンは材料をそのまま水で煮込み作られます。
そのためブイヨンとフォンの大きな違いは透明か濁っているかなので、覚えておいても損はないでしょう。
それぞれのスープの種類と使い道
ブイヨンとコンソメ、フォンの違いはだいたい分かってもらえたと思います。
ここからはそれらのスープを原料別に分け、オススメの使い道を紹介していきましょう。
また、現役料理人の僕もいいなと思ったレシピも載せておくのでぜひ作ってみて下さい!
ビーフブイヨン
ビーフブイヨンとは牛の骨や筋を主に使ったブイヨンになります。
スーパーなどで売られているブイヨンの素はこのビーフブイヨンの場合が多いです。
牛の旨味や香りが効いたスープなので牛肉を使った料理やパンチを効かせたい時に使うのもオススメします。
・ビーフシチュー
・リゾット
・ポトフ
参考レシピ
チキンブイヨン(コンソメ)
一般的にコンソメとして売られているのがこのブイヨンのうちのチキンブイヨンになります。
原料はその名の通り鶏の骨を使って作られます。
また、調理場ではコンソメ・ブラン・サンプルともよばれ、ポタージュの土台となる出汁です。
市販で売られているコンソメは顆粒の物とブロック状の固形の物がありますが、顆粒の物はスープはもちろん炒め物などにも混ぜることで西洋料理の雰囲気を出すことができます。
・ポタージュ類全般
・コンソメスープ類全般
・炒め物
・西洋料理全般
参考レシピ
クール・ブイヨン
このクールブイヨンのクールとは「冷たい」ではなく、フランス語で「短い」という意味があります。
なのでクールブイヨンとは短時間でとれる出汁という意味があり、長時間煮て作る他のスープと違いこちらのクールブイヨンは家庭でも短時間かつ簡単に作ることができます。
クールブイヨンを作るときは水に香味野菜を入れ、さらに白ワインビネガーを加え酸味をきかせます。
これはポタージュなどに使うほか、海老などを茹でる時に臭みを取る役目もあるからです。
基本的にクールブイヨンの使い方はチキンブイヨン(コンソメ)と同じですが、短時間で作るものなので若干香りが弱い場合があります。
・ポタージュ類全般
・スープ類全般
・西洋料理全般
参考レシピ
ブイヨン・ド・レギューム
レギュームとはフランス語で「野菜」を意味し、これは野菜の出汁になります。
野菜だけを使った出汁なので軽めのポタージュなどに使われることが多いです。
また、冷蔵庫にあまった野菜などを使って作れることも魅力的ですね。
・野菜系のスープ
・野菜系のポタージュ
・ミネストローネ
・ポトフ
参考レシピ
フォン・ド・ヴォー
フォンのなかではこれが一番ポピュラーなので聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
これは子牛の出汁という意味があり、子牛の肉と香味野菜を炒めてから長時間煮て作る茶褐色のフォンになります。
さらに派生として、フォン・ド・ヴォーをさらに煮込んだものをフォン・ド・ヴォー・コルセ。
フォン・ド・ヴォーを何回かこしながら煮詰めてどろどろになったものをグラス・ド・ヴィヤンドといいます。
フォン・ド・ヴォライユ
ヴォライユとはフランス語で家禽という意味で、鶏の出汁のことをいいます。
鶏肉や香味野菜を水に入れ、長時間煮込むことで白色の出汁ができあがります。
フュメ・ド・ポワソン
ポワソンとはフランス語で魚という意味があり、魚の出汁になります。
魚をおろしたときに残る頭や骨を使い、白ワインとともに水から煮ていきます。
魚からとるだけあり、同じ魚料理に相性がよくカレイなどの淡白な魚にもよく使われます。
ですがこのフュメ・ド・ポワソンは作りおきのできるフォン・ド・ヴォーなどと比べ、風味や味がすぐ落ちてしまうので新鮮なうちに使いきってしまうのがよいでしょう。
フォン・ド・ジビエ
ジビエは聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
ジビエとは鹿やウサギ、野鳥など狩りでとることのできる猟鳥獣のことでそれらからつくる出汁のことをフォン・ド・ジビエといいます。
ジビエの骨などは臭いが強いので、香味野菜とともに炒めてから長時間似ますので茶褐色の出汁となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
西洋料理の出汁とは、あまった肉や骨などを使って作れるのでとても経済的で無駄のないものです。
市販で売っているコンソメのほかにもこんなに種類がありますが、それぞれの料理に合った出汁というものがやはりあります。
その料理にあった出汁を使うことも大事ですね。
今回はここまで!
西洋料理の職人についてはこちらです。